
東急不動産は、環境先進企業を目指し、脱炭素社会の実現をはじめとした多角的な環境取り組みを推進しています。取り組みには、オフィスビルに入居しているテナント企業様にもご参加いただき、その「環」が拡がっています。
環境重点課題である「生物多様性」を実践するため、渋谷・恵比寿・竹芝エリアのオフィスビルで「都市養蜂」を行っておりますが、今回は東京ポートシティ竹芝(東京都港区)で開催した「GREEN ACTION オフィスビルでの養蜂と採蜜体験」のレポートをお届けします。
都市養蜂を学ぶひととき。
都市養蜂は、植栽による緑化よりも一歩踏み込んだ、生物多様性に貢献する取り組み
旧芝離宮恩賜庭園や浜離宮恩賜庭園、東京湾から近く、豊かな自然に囲まれた東京ポートシティ竹芝。2階から6階にまたがる緑豊かな「スキップテラス」を中心とした、「雨・水・島・水田・香・菜園・蜂・空」の8つの景からなる「竹芝新八景」は、都市の生物多様性保全を実践する場となっています。


東京ポートシティ竹芝5階、竹芝新八景<蜂の景>で集めたハチミツを採蜜する今回のイベントには、東京ポートシティ竹芝をはじめとして東急不動産のオフィスビルに入居するテナント企業様が50名程ご参加。皆様、同僚やご友人、ご家族連れで参加してくださり、お子さまの姿も見られ、今回のイベントを楽しんでいただきました。
まずは東京ポートシティ竹芝のエリア周辺にある自然環境(東京湾・浜離宮・芝離宮)や竹芝新八景の8つの生物多様性保全の取り組み拠点および蜂の景(=都市養蜂)を設置している意義や目的などを、竹芝UBC事務局(※)からお話しいただき、その後竹芝新八景<蜂の景>で養蜂を管理するL’ABEILLE株式会社様より、都市養蜂の意義、竹芝エリアで採れるハチミツの特徴について学びます。

「ミツバチが花粉を運ぶことで植物に実りをもたらし、その実を食べに鳥が集まります。鳥が植物の種を運ぶことで、緑化が広がっていきます。生物多様性の保全と周辺の環境改善にいい影響を与える都市養蜂は、従来の植栽による緑化から一歩踏み込んだ環境取り組みと言えるでしょう」(※図1参照)
映像を交えた解説に、参加者の皆様も興味津々の様子で、「自分たちが働いているオフィスビルが、地域全体の生物多様性向上に貢献しているとは知らなかった」という声もありました。

- ※:東急不動産㈱・㈱石勝エクステリア・㈱かたばみの3社で、竹芝新八景の管理・運営、情報発信のために設立された組織
竹芝エリアの多様な生物に育まれたハチミツの味
続いては、参加者の皆様が楽しみにされていた採蜜体験です。竹芝新八景<蜂の景>のミツバチは、巣箱がある養蜂場を中心に半径約2~3kmを活動範囲としています。巣箱から取り出してきた巣板には、六角形に並ぶ小部屋とハチミツがびっしり。
遠心分離機にセットして回すと、ほどなくしてトロリとハチミツが流れ出てきます。参加者の皆様にも順番に体験いただき、たくさんのハチミツが採取できました。
1種類の花の蜜でつくられる「単花蜜(たんかみつ)」に対して、複数の花の蜜でつくれるハチミツを「百花蜜(ひゃっかみつ)」と言います。竹芝のハチミツは後者。竹芝新八景の菜園や植栽はもちろん、オフィスビル周囲の街路樹、旧芝離宮恩賜庭園、浜離宮恩賜庭園、芝公園の植物までも蜜源としているため、さまざまな花の香りが味わえるのが特徴です。

採れたての香り高いハチミツを試食して、「お花の良い香り!」「今まで食べてきたハチミツと全然違う!」などたくさんの歓声が上がり、試食会は大盛況となりました。


ミツバチの巣箱を見学。ミツバチの働きぶりと都市における生物多様性を体感
採蜜体験の最後は、ミツバチの巣箱を見学しました。屋外テラスの巣箱設置エリアは、安全のために普段は柵に囲まれていますが、「まさかここにミツバチの巣箱があるなんて気づかなかった」、「自分が働くビルでミツバチたちもがんばっていたんだね」などの感想もいただきました。
養蜂家の方が巣箱の中から巣板を持って現れると、参加者の皆様のまなざしはミツバチの巣にくぎづけ。普段の暮らしで出会わない光景に、思わず写真を撮る姿も。
養蜂家の方によると、竹芝エリアは街路樹など植物の維持管理に化学物質由来の農薬を使っていないことや、ミツバチを狙う害獣の脅威も少ないことから、都市養蜂に適した環境とのこと。ここでも新たな学びがありました。

竹芝エリアのミツバチの生態や都市養蜂について、参加者の方、また子どもたちからもたくさんの質問が飛び交い、30分の見学会は終始賑やかな雰囲気。身近にある生物多様性を、まさに五感で楽しめるイベントでした。


東京ポートシティ竹芝のミツバチは、3月中旬から7月初旬にかけて数万匹が活動しています。7月を過ぎたら高尾山麓の巣箱へ引っ越して、越冬に備えるそうです。そのため、オフィスビルの養蜂と採蜜体験は、年1回の開催と限られています。次回は来春ですが、興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
TOPICS

収穫したハチミツは「竹芝のはちみつ」として製品化。
テナント企業様へのプレゼントや、テナント企業様向けのイベント等で限定配布しています。
- ※渋谷・恵比寿エリアのオフィスビルでも同様に製品化しております。
- ※掲載内容は2025年5月取材時のものです。
協力企業のご紹介
L’ABEILLE株式会社 様
70年以上の歴史を持つ養蜂企業・蜂蜜専門店。東京都八王子市、高尾山麓にある養蜂場のほか、都市と自然環境の共生を目指して都市養蜂も行っています。東急不動産とは、恵比寿のオフィスビルに続き、東京ポートシティ竹芝でも都市養蜂を管理しています。

都内で養蜂を行っている場所はたくさんありますが、現地で採れたてのハチミツを試食でき、養蜂現場も見学できるイベントは貴重な機会だと思います。今回のような養蜂関連イベントを継続していくことで、多くの方にミツバチの働きを知ってもらい、蜜源となる植物の保護や環境改善に対する意識を変えていくお手伝いをしていきたいです。
(写真左)L’ABEILLE株式会社 高橋大祐 様
(写真右)東急不動産株式会社 都市事業ユニット 都市事業本部 ビル運営事業部 営業運営第一グループ 簗瀬理恵子